今なぜ海外投資なのか?

国内に投資しているだけではお金が増えない時代になりました。一方、更なる年金支給年齢の引き上げが議論される今、公的年金はまったくあてになりません。安心したリタイア後の生活に備えるために、「自分年金」作りが必要です。そのために欠かせないのが、海外ファンドを活用した、海外投資の必要最低限のノウハウなのです。

1.なぜ国内の投資信託ではダメか

海外投資は日本の金融機関でもできるが……

日本の銀行や証券会社でも、もちろん海外投資商品は買えます。むしろ、どれを選んでいいのか迷ってしまうほど海外投資の品揃えは豊富です。

その代表的な商品が投資信託。日本には公募投資信託が4000本以上もあります。その中にはブラジルの債券や米国のREIT、ロシアの株式まで、ほぼ買えないものはありません。これを見る限り、海外投資は日本に居ながらにして十分可能なように思えます。

しかし、日本の投資信託、特に人気の投資信託には、プロが仕掛けた巧妙なワナが隠されているのが実態なのです。

日本の金融機関が顧客に薦めるのは、手数料が高かったり分配金をたくさん出したりという「長期で資産を形成する」という発想の逆を行く投信ばかりです。海外で普及している一般的な金融商品と比べると、彼我の金融リテラシーのレベルの差を感じざるを得ません。

顧客に売るために大規模な宣伝や営業活動を展開すると、さまざまなコストがかかります。そうしたコストは、投信の手数料に上乗せされることになるので、結局、ツケを払わされるのは投資家自身です。

本来、投信は顧客の資産を増やすための有効な道具のはずですが、日本の現状では銀行や証券会社が手数料収入を確保するための手段になっています。金融機関で配布されるきれいなパンフレットや、親切そうな営業トークに騙されてはいけません。

以下、具体的な事例を見てみましょう。

こんな投信を買ってはいけない

定期預金とセットの商品 
定期預金と投信を一緒に申し込むと、「特別金利をつけますよ」といった期間限定のキャンペーンを実施する銀行は現実にたくさんあります。

一見お得な商品に見えますが、仮に定期預金の特別金利は4%とあっても、これはあくまでも「年率」。よく見ると、組み合わされている定期預金は3カ月定期というのが普通です。この預金に100万円を預けても、利息から20%の源泉税が差し引かれて、実際に受け取れる利息は8300円です。

一方、特別金利の優遇を受けられるのは、同額以上の投信を一緒に購入する場合だけ。銀行の窓口の販売手数料は申し込み金額の2~3%程度が一般的で、仮に100万円分の投信を購入すると2~3万円の手数料を銀行に支払うことになります。他にも手数料がかかるので、初年度の手数料の総額は4~5万円程度になります。

もらえる金利は8300円、支払う手数料は4~5万円ですから、銀行側が確実にトクをする仕組みであることがわかります。 


 ☆高利回りを謳い文句にする投信
銀行などの窓口の担当者は、海外の債券に投資する投資する投信を勧める際には、「利回り」という言葉を強調することが多いようです。預貯金しか利用したことのない人でも、「金利」や「利回り」という言葉ならすんなり受け入れられるからでしょう。

しかしこの利回りは、将来の為替変動を考慮に入れていません。ブラジルの通貨であるレアルや南アフリカの通貨であるランドなどは、海外投資をする際に高金利通貨として人気が高いですが、為替はかなり大きく変動します。仮に10%の利回りがあっても、通貨が大幅に下落すれば、基準価格が下落して損をします。

新興国の通貨は流通している量が少ないため、先進国の通貨と比べて為替相場の変動が大きいのが特徴です。少し人気が出ると暴騰したり、悲観的なニュースが流れると暴落したりします。

また、金利が高いと物価上昇率も高いことが多く、通貨価値は下落しやすいという傾向もあります。ですから、単純に金利や利回りの高さだけに惹かれて、多額のお金を投資するのは大きな間違いなのです。 


効率の悪い毎月分配型 
毎月分配型投信は「毎月お小遣いがもらえる」という触れ込みで人気を集めています。国内で販売されている投資信託のうち、資産残高の多い投信の上位には毎月分配型の投信が並びます。

しかし、この分配金というのが実にくせものなのです。分配金はどこかから湧き出てくるわけではありません。分配金の原資は、投資家が投資したお金です。分配金が支払われると、その分投信全体の資産が減るため、投信の基準価額が下がります。



分配金をもらうと資産が増えたような気になりますが、保有する資産の総量自体が増えたわけではありません。それどころか、分配金を受け取るたびに税金がかかるため、実際には税金分だけ資産が目減りしていきます。複利効果も減りますから、分配金を何回にも分けて受け取るのは資産を増やすうえでは損なのです。

運用成績が良くなくても、無理をして分配金を出す投信もありますが、これはタコが自分の足を食べているようなもの。自分の資産を吐き出しているだけで、基準価格はどんどん下がります。

一方、1年決算型は、毎月分配なら分配されているはずのお金が再投資されるため、複利効果が高くなり、その分基準価格は上昇します。「基準価額が上がらなくても、分配金を毎月もらっているのだからいいではないか」という方もいるかもしれませんが、分配金を加えても有利なのは1年決算型の方なのです。

また、毎月分配型の投信は、手数料が高いことも問題です。毎年かかる信託報酬が、年率1.5%を超える商品もあります。本当なら、分配金の出ない低コストの投信を購入して運用し、必要に応じて年に数回まとめて解約する方がずっと効率的です。


痛い目にあう可能性が高い通貨選択型 
通貨選択型の投資信託は、最近の大ヒット商品です。これはさまざまな投資対象と、高金利通貨を組み合わせたものです。特にブラジルレアルを選択するコースは一時、大きなブームにもなりました。

しかし、高い分配金にだけ惹かれて手を出すと、痛い目にあう可能性もあります。というのも商品設計が複雑なうえ、リスクが何重にもなっているからです。

この商品は簡単に言うと、以下の3つの要素で儲け・損が決まります。

① 投資対象資産(米国ハイ・イールド債など)の損益
② 「投資対象資産国の通貨」と「選択した通貨」の短期金利の差(為替ヘッジプレミアム)
③ 選択した通貨と円の為替差損益

金利差は変動するので、ずっと高い分配金がもらえるとは限りません。また、高金利通貨は大きく変動する傾向があるため、たくさん分配金をもらってもトータルで損をする可能性もあります。

スイッチング(通貨の乗り換え)は保有する投信を解約して新しい投信を買うのと同じなので、新たに購入手数料がかかり、利益が出ていれば税金も発生します。これも売り手が手数料を稼ぐ手段の一つでしかないのです。 


 ☆資産分配型には「セット割増料金」が付いてくる
資産分散型投信とは、株式や債券、REITなどを組み合わせて投資するのが特徴。確かに分散投資にはなりますが、問題は手数料の高い商品が多いことです。というのも、株式や債券に直接投資するのではなく、投信に投資する「ファンド・オブ・ファンズ」の形式をとっている商品が多いからです。



自分で個別に投信Aや投信Bを買うと、それぞれの信託報酬しかかからないのに、セットで買うと手数料が割高になってしまうというのも不思議な話です。それなら、自分で低コストの商品を組み合わせで購入した方が、手数料は安く抑えられます。

ファンド・オブ・ファンズの長所は「優秀な投信を選んで投資すること」だと言われます。ただしそれは、本当にいい商品がリーズナブルな価格でセット販売されているときにだけ成り立つ話です。現状では、手数料が高く成績も芳しくない自社系投信を組み入れているような場合もあり、「売れない投信の在庫処分をしている」という批判もあります。 


テーマ型投信は設定時がピークなことが多い 
売り手にとって、「環境」や「地球温暖化」といった冠をほどこした投信は、さほど投資に興味のない層の関心をひきやすい、売りやすいというメリットがあります。しかし、実際には運用実績がいまひとつというものが多いのです。

テーマ型投信は「流行りモノ」関連の投信が多い点も注意が必要です。設定時にはすでに関連相場の人気が過熱していて、すでに高値になっていることもしばしば。実際、過去の事例では、人気化した投信は大量設定され、早い時期に相場の下落局面を迎え、運用成績が一気に悪化するケースが多いのです。

今でも相変わらずテーマ型投信は続々と生まれていますが、売り手にとって流行りモノ投信は「大量に」「効率的に」売れて手数料が稼げる格好の商品なのです。 


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